6月1日 有名人レビュー

今回も松下幸之助の話の中から、素晴らしいと思えるものをご紹介いたします。

 

松下幸之助はなぜ成功したのか。
松下幸之助松下幸之助の側近、故 江口克彦より

 

経営をしていると、さまざまな問題が出てくる。そのさまざまな問題に対応するのには、一種類の人だけでは対応できない。いろいろな人がいるから、この問題は君がやってくれ、この問題は君が得意だ、という分担ができる。それで会社は強くなる。

「昔話で桃太郎というのがあるやろ。猿とキジと犬。みんな違うわね。違うから、それぞれの役割が生まれ、違うから鬼退治ができたわけやね。それと同じように、会社にもいろんな人がいないとあかんな。まあ、個性を持ったというか、特徴を持ったというか、そういう人の集まりにすることが大事といえるね」

個性豊かな社員たちをどう活用していくか、これが経営者の腕の見せどころである。個性豊かな社員をたくさん持ったら、組織がバラバラになるのではないか、と考える人がいる。しかし、そんなことはない。逆である。体験的に言って、むしろ個性的な人が多いほうがまとまりやすい。

 

たとえば障子である。敷居と鴨居という、障子と違ったものがあるから障子は障子として個性を発揮できるし、敷居も鴨居もそれぞれに個性を発揮して存在できる。そこにひとつの調和が生まれ、まとまりが生まれる。同じように、個性的な人を集めて相補うようにすれば、会社はそれだけ強くなる。

武田信玄は、生涯自国に城というものを築かず「人は石垣、人は城」という考えに徹して、人を重視し、人を最大限に活かして地歩を築いた。人を使うについて、こういうことを言っている。

「自分は部下に釣り合いということを考えている。たとえば馬場信房は寡言で気位が高い。だから、よくしゃべり物事をてきぱきとやる内藤昌信と組ませる。山県昌景は性急で、敵を見ると自分の軍勢だけでも攻めかかるようなところがある。そこで、高坂昌信のように、まずじっくり考えてから行動する者と一緒に働かせる。強情な者には柔和な者を組ませれば、水と火とが物を煮るようにうまくいくものだ」

組み合わせが重要

つまり、人を使うにあたっては人の組み合わせが大事だというわけである。

そのとき勘違いしてはならないのは、個性的な人を集め存分に働いてもらうことが大事ならば、全体としての方針というものはどうなるのか、ということである。方針があったら個性を発揮できない、だから方針などいらないと思う人がいるかもしれない。しかし、実際にはそれも反対である。

「個性というものは、もともとひとつの、まあ、いわば拘束というものがないと発揮できんのや。非常に矛盾したことを言うようやけど、個性は拘束なくしてありえないんやね。障子と敷居鴨居の話でいえば、障子が障子でありうるのは、敷居と鴨居という拘束があるからや。障子が自由に開け閉めできるのは、上と下で挟まれておるからや。個性というのも同じことや。

ひとつの方向があるから、はじめて個性が発揮できる。会社でいえばそれが経営方針であり、基本理念であり、ということになる。会社に経営理念があって、それがビシッと一本、社員の中に通っていればこそ、はじめてみんなそれぞれに個性を発揮できる余地が生まれてくるのである。

「きみ、ええか。物事は、右か左かどちらかひとつで考えたらあかんで。なんでもそうやけど、たいがい相矛盾する考え方があって、たいていの人はそのいずれかひとつの考え方で判断しようとする。けど、それは基本的にはよくないことや」

たとえば社会というものを考えても、全体がなによりも大事だとする考え方と、個人が大事だという考え方と、ふたつある。しかし全体のために個人が犠牲になるとすれば、それはなんのための全体か。個人が犠牲になるような全体ならば、作らないほうがいい。

かといって全体はどうなっても、個人さえ大事にされればいいのだとするなら、その個人はいったいどこに立っているのか。自分が立っている踏み台が壊れてもかまわないというのは愚かな考えである。

個人も社会も繁栄するには?

自分も活き、全体も活きる。個人も繁栄するが、社会も繁栄する…そうなる方法を考えるのが知恵ある人間というものである。

「まあ、人間はひとつだけの物差しを使って考えたほうが容易であるから、どうしてもそうなるわな。二本の、あるいは三本の、ということになれば、複雑になるから、なるべく一本の物差しで明快に考えようとする。

しかし、わしの経験からして、物事そんな簡単なものではないよ。だからたいていの場合、やり方を間違える。基本方針と個性というものは、見方によれば相反する考え方といえるが、そのいずれも否定すべきもんじゃないわな。その両方を生かし活用するところに、会社というか組織が発展する秘訣があるんや」

 

このお話を読んだだけで、松下幸之助がどれほど大きな器だったかが実感出来ます。
会社というものを俯瞰しながら社員一人一人を見極め、社会全体も見据えて、自分の目標に向かって組織を動かしていったことがわかります。

この話はぜひ何度も読んで、身に付けたい思考だと思いました。


松下幸之助4

 

 

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